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忍ニン。

  • 執筆者の写真:  Fumiko MIKUNI HAMANO 三国富美子 浜野富美子
    Fumiko MIKUNI HAMANO 三国富美子 浜野富美子
  • 2019年2月21日
  • 読了時間: 2分

最近 弦が切れる、ということが起きなくなってきたと思っていたら

まさかの仕事先でA線が見事にプツン。

それもあと40分後には演奏。

たまに夢で見る、ケースを開けたらバイオリンが入っていないとか弓がないとか練習していない曲を弾く羽目になるとかの類でケースを開けたら弦が切れていた、しかしその日は夢ではなく現実に起こった。

色々考えて、まずは弦をどうにかくっつけること、あの手この手・・・A線は張力が5.5キロほど。

結ぼうがテープでつなごうがその張力をキープするなんて今までの弦ではやったことがなかった。

が、慎重に弦同士を結び、巻き戻しが起こらない結び目をつくることに成功。なんとか弾き終えることができた。

生きた心地がしない時間であった。

忍ニン。

16日間の日本滞在を終え、戻仏2日後にはレッスンが控えていた。

仕事中も楽譜を見ていたが出来ると思っていたことの4割しかレッスンで発揮できなかった。

帰り道は足取り重く、サンラザール駅からローム通りを歩き、Millantで弦を買おうと店に入る。

ドミナントしかないのよ、と言われ今度はRaffinへ。

私を見た店主は7/8の楽器を薦めてきた。

旦那は「彼女はね、小さくて幼く見えますが私の妻です」と言い、私は

「これでも大人のバイオリンを弾いているんです、そして今はオリビエ先生のレッスンの帰りなんです、確かに手が小さいのでエチュードは音を変えて弾いていますが、特例で。」

楽譜を見せながらそう伝えた。

すかさず人のよさそうな彼はすみませんと謝り、苦笑い。

怒っていませんよ、いつものことですから。

忍ニン。

一昨日、先生はトリオでコンサート、見事だった。

師匠の弓使い、シフティング、音楽の運び。

じーっとずーっと見て目が痛かった。

レッスンを受けて直後のコンサート。

なおさら吸収すべきことが山盛り。

そして今日もシャンゼリゼ劇場でコンサート。

 演目は一昨日とはまた違い、しかもボックス席からの眺めはまた違う動きを確認できた。

コンサートに次ぐコンサート。

消化できるのは半年先かもしれない。

帰り道、芸事は師匠の技わざを盗むのではなくて

術すべを盗む、と旦那は言っていた。

確かにそうだと思った。

どこで弾くか

何を弾くかはもはやどうでも良い。

目の前にある楽器でなにができるか、それだけだ。

忍ニン。


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